小児脳神経外科グループ

概要紹介

いつでも、いつまででも、どこでも、どこからでも、誠心誠意、迅速な対応

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脳神経外科にかかる小児患者さんすべての診療に携わっています。診断から手術・周術期管理に加え、内科的治療への積極的対応や、後遺障害に対する長期にわたる継続診療も原則とし、疾患のみならず児の発達・成長を全人的にみていきます。また患者さんと家族に寄り添い、その密接な関係の中で何か新しい解決法がないか、常に模索するよう心がけています。そしてこうしたマインドが、社会的インパクトのあるシーズを生み出す原動力になり、最終的には患者さんへ還元できると信じています。

当院は小児がん拠点病院ですから、脳腫瘍グループや小児科血液がんグループとの緊密な連携のもと、特に脳脊髄腫瘍への対応には力を入れています。脳脊髄腫瘍は発生する部位(頭蓋内・脊髄など)や組織型(良性・悪性)によって多数の種類がありますが、当院では新生児期から学童期までの全疾患に対応(手術・化学療法・放射線治療)しています。内視鏡グループや頭蓋底外科グループとも有機的連携ができており、一般施設で容易ではない手術も行っています。また、小児科血液グループとの連携により、管理が非常に難しい化学療法(幹細胞移植を伴う大量化学療法)も施行しており、良好な治療成績を達成しています。長期にわたる入院生活に伴う精神面のケアや、治療後の成長・発達に関しても他診療科と連携してフォローアップしています。

腫瘍のみならず先天奇形疾患や血管障害なども含めて、小児疾患はいずれも非常にニッチな分野であり、有効な治療と医学的発展のためには専門施設への集約が不可欠です。このため逆に名大病院には多くの患者さんが集まってきます。本学ならびに当グループは、こうした患者さんや社会に対して重大な責務を負っています。病めるこどもたちのために何かできることはないか、本当にただ治すだけで良いのか、原点の気持ちを常に忘れないよう、日々、診療・教育・研究に勤しんでいく所存です。

スタッフ一覧

現在の名古屋大学脳神経外科のメンバー

  • 医員芝 良樹Yoshiki Shiba(平成24年卒)

関連病院在籍メンバー

  • あいち小児保健医療総合センター
    脳神経外科部長
    加藤 美穂子Mihoko KATO(平成5年卒)
  • あいち小児保健医療総合センター
    脳神経外科医長
    大澤 弘勝Hirokatsu OSAWA(平成9年卒)
  • あいち小児保健医療総合センター
    脳神経外科医員
    長倉 正宗Masamune NAGAKURA(平成21年卒)

診療概要

診療方針

名古屋大学脳神経外科小児グループでは、他診療科および当グループ関連病院と有機的に連携することで、すべての小児脳神経外科疾患について対応しています。また名大病院じたいは脳腫瘍手術と新生児手術の件数が特に多く、中部地区におけるセンターの役割を担っています。

基本的にすべての分野において、大学病院医師と他の医療機関の間で、病初期から情報交換と連携ができる体制になっていることが最大の特徴す。必要性があれば、大学病院専門医が各医療機関へ臨時代務医として赴き、診療の支援をすることがあります。また小児疾患治療の拠点となる関連施設には、こうした患者さんの窓口となるよう名大小児脳神経外科グループによる外来を開設しています。その結果、患児は疾患・発達の各ステージにおいて遅滞なく必要な医療を受けられます。

主な対象疾患と診療体制

(1)脳腫瘍

名古屋大学は小児がん拠点に指定されており、すべての脳腫瘍のお子さんを受け入れています。適切な医療連携のもと、迅速かつ安全に診断・治療していきます。

<手術>
 脳腫瘍グループと連携し、主に名大病院および刈谷豊田総合病院で手術を行っています。
<集学的治療>
 放射線治療・化学療法など集学的対応を要しますので、小児科学講座(血液・腫瘍グループ)の協力を頂き、同じチームとして診療に当たっています。
(2)先天疾患(新生児)

生まれたばかりの赤ちゃんで、脳脊髄の先天奇形がある方を対象としています。主に、二分頭蓋(脳瘤)、二分脊椎(脊髄髄膜瘤・脊髄脂肪腫)、水頭症などが挙げられますが、脳脊髄にかかわるすべての新生児先天疾患を受け入れています。

<手術>
総合周産期母子医療センターの指導・支援のもと、主に名大病院で手術を行います。特に脊椎・脊髄疾患の手術に関しては、常に脊椎外科グループと共同で診療しており、一般疾患から高難度手術まで全て対応しています。また、あいち小児保健医療総合センターと連携しながら、グループとして安城更生病院(西三河地区の総合周産期母子医療センター)へのサポート(手術)も行っています。これら関連施設と適切な医療連携のもと、緊急性のある患者さんはいつでも受け入れ可能です。
(3)先天疾患(乳幼児・学童)

生まれてある程度月日が経った赤ちゃんや小さいお子さんで、脳脊髄や頭蓋骨の先天奇形がある方を対象としています。

<手術>
内視鏡グループと連携し、あいち小児保健医療総合センターや安城更生病院で手術を行っています。ただし名古屋市内や尾張北部・岐阜県などこれらの施設から遠方にお住まいの患者さん、名大病院かかりつけの患者さんについては、患者さんの利便性・安全性を考慮し当院や大同病院で手術対応しています。
(4)小児脳血管障害(もやもや病・AVMなど)

主にもやもや病、AVMなどを始め、脳血管障害をもつ全てのお子さんを対象としています。

<手術>
血管障害グループが中心となり、あいち小児保健医療総合センターと連携しながら全ての手術(バイパス、開頭血腫除去、AVM摘出など)に対応しています。また一般に難しいとされる小児血行再建の周術期管理については、当院SICU・麻酔科の強力な支援のもと、高難度症例についても安全に診療しています。

特徴的な治療

小児がん拠点病院としての責務(1)~難治性脳腫瘍の先進的治療

手術、放射線療法および化学療法など急性期治療については、原則として保険診療上認められた標準療法をおこなっている。しかし小児がん拠点病院の責務として小児科血液グループと連携し、難治性疾患については現代医療の英知を結集した先進的な医療を施行している。
特に髄芽腫はじめ難治性小児脳腫瘍の再発患者に対するテモゾロミド/ベバシズマブ/イリノテカン3剤併用療法や、毛様細胞性星細胞腫に対するベバシズマブ療法など、倫理的に承認された新規治療については積極的に推進し、これまでほとんど生存が見込めなかった児の予後延長を得ている。また医療特区に指定されたこともあり、難治性腫瘍の寛解を目的として海外承認薬による大量化学療法の準備が整いつつある。

小児がん拠点病院としての責務(2)
~亜急性期・慢性期の支援:小児患者の症状・発達・生活背景にあわせたテイラーメイド対応

亜急性期~慢性期治療については、複数の高度専門医療機関群と連携をとりながら、脳腫瘍そのものの診療だけでなく、小児患者にとって不可欠な管理と支援を行っている。とくに腫瘍治癒後の患者に対する支援体制は、他に類をみない充実した内容であり、特筆すべき体制である。

当チームでは、腫瘍そのものによる障害、および放射線・化学療法や長期入院の結果として生じる後遺障害に対して総合的にアプローチしており、その具体的な内容を以下に示す。

  1. 腫瘍の追跡・再発時治療、および一般的な後遺障害に関する追跡は、名古屋大学医学部附属病院(脳神経外科・小児科)で行っている。また、患児の疾患内容や年齢・家族構成・社会背景によっては、持続可能な診療をめざすために負担を軽減し、小児脳神経外科関連施設(大同病院、刈谷豊田総合病院、あいち小児保健医療総合センターなど)での対応や、その他の名古屋大学関連病院での診療も許可している
  2. 腎・内分泌障害のように極めて専門性の高い分野については、あいち小児保健医療総合センターと緊密な連携をとり、いつでも電話1本で対応が可能な体制を敷いている。放射線・化学療法後の患児に汎下垂体機能低下症や副腎不全などの内分泌障害や、慢性腎臓病などが生じやすく、生涯にわたる追跡を要するため、原則としてあいち小児保健医療総合センター併診としている。
  3. 腫瘍寛解と全身状態の安定を以てしても、ただちに発達が担保されて児が望んだ人生を歩めるわけではない。脳腫瘍寛解後の児には、放射線治療に伴う高次脳機能障害・発達遅滞、加えて腫瘍浸潤や摘出術による影響によりさまざまな精神・神経後遺障害が残る上、内分泌異常に伴う発達遅延なども相まって、極めて厳重な管理と強力な支援を要する。現在、こうした発達面の問題に対する支援は、当院小児科神経グループとの連携に加え、あいち小児保健医療総合センター、愛知県心身障害者コロニー中央病院、大同病院、刈谷豊田総合病院、江南厚生病院など当院脳神経外科小児グループ関連施設が中心となり、各地域の療育センターとも緊密な連携をとっている。児の発達を日常生活に根ざして支援するため、このような地域密着型医療を提供するよう心がけている。加えて、多くの児は高度なリハビリテーションおよび児童精神科対応が望ましいこともあり、責任をもって小児疾患を得意とする関連施設へ紹介している。これも患者の利便性と治療効果を鑑みて原則として地域での対応ができるよう連携をとっている。また、こうした連携を病初期から支援していくことも特徴である。
小児がん拠点病院としての責務(3)~悪性脳腫瘍患児の終末期医療

疾患の特性上、不幸にして治癒困難となる患児が多いのは事実である。そうした疾病に罹患している児・家族に対しては、早期からMSWやCLS、緩和ケアチームなどが積極的に関与し、患者の不安を取り除きながら地域医療機関との連携を推進していく。また多くの施設で、いかに専門性が高くとも、看取りの段階で地域医療機関へ移行していく過程で、当初の治療スタッフ、とくに執刀医・初療医との縁が遠くなってしまうことにより患児や家族が精神的に不安定になってしまったり、連携不足により医療事故を誘発してしまったりする危険性があるが、当院では最後まで脳外科医も参加してサポートする体制になっており、その懸念は乏しい。また、担当医が永く最期まで患児・家族に寄り添うことで、苦しい時期を過ごす人々の支えになるよう配慮している。
特に大同病院との連携では、家族・患児が納得できる看取りができるよう小児科とタッグを組んだ在宅医療を推進しており、実際に大学から大同病院に代務医を派遣し、脳外科医もともに患児の家まで足を運んで看取りを行っている。こちらでも小児脳神経外科専門外来を開設しており、ここを軸に小児科専門医と手を携えて緊急時対応や往診をおこなっている。このため、如何なる状態に至っても、本学スタッフの側からは診療に携わった患児を見放すということはない。