「Duke University留学記」棚橋邦明

Duke University留学記

【氏名】棚橋邦明(平成17年卒)

私は2015年7月から2016年6月までの1年間、米国デューク大学へ留学させていただいたのでご報告させていただきます。

私は卒後6年目で帰局し翌年に専門医資格を取得後、脳腫瘍グループに所属して基礎研究に従事しました。また実験の合間には大学で行われる手術の助手を始めとした臨床業務にも携わりました。そのような中で頭蓋底外科手技の勉強や解剖知識の必要性を感じたため、Cadaver dissection workshopに参加するようになりました。その頃にデューク大学の福島孝徳先生主催の研修会に参加したことが、この留学のきっかけとなりました。海外の研修会参加は時間と費用を要すためなかなか大変ですが、頭蓋底外科手技や解剖知識を系統的に学ぶことができたことに感銘を覚えました。その後複数回の研修会や手術見学にも足を運び、Research fellowという形で留学を受け入れていただくことになりました。残念ながら奨学金申請が諸事情によりうまくいかなかったため、完全自費留学という形になりました。

デューク大学は米国ノースカロライナ州(東海岸の中間あたり)にあり、同州で研究が盛んな他2大学とともにResearch Triangleを形成する私立大学です。福島先生は脳神経外科のConsulting Professorというポジションで、御自身のクリニックで外来診療を行いつつ、紹介患者や大学の脳外科スタッフからのコンサルト症例の手術を、Duke University Medical Center、分院のDuke Raleigh Hospital、近隣のWakeMed Hospitalの3ヶ所で脳外科スタッフやレジデントを指導しながら毎日行っておられました。米国医師免許のない私は手洗いも許可されないため、外回りの仕事のお手伝いをしながら手術を学びました。漫然と見学することは時間の無駄になるため、手術の各局面で自分ならどうするか、どんな技術を学ぶべきか、常々考え分析しました。また時間を見つけては大学内にあるSkull base anatomy laboratoryで解剖を学びました。他の留学中の先生との兼ね合いもあり、自由なテーマで解剖研究を行うことはできませんでしたが、時間制限のある研修会では学べない詳細な解剖をじっくり学ぶことができ、大変有意義な経験をさせていただきました。

ノースカロライナ州には日本人が知るような有名な観光名所はありませんが、西部にあるアシュビルの紅葉は一見に値すると思いますし、州外ではワシントンDC、ニューヨーク、アトランタなどの有名都市の観光もできました。また帰国直前には第二子が誕生し、良い経験となりました。不安のある中で現地に留まってくれた妻には感謝しています。米国生活の中で医療制度や文化の違いを学び、そこからまた日本の良さに気づく良い機会となりました。

余談になりますが、ちょうど私が留学中に名古屋大学において荒木芳生先生、宇田憲司先生の御尽力により苦難の道を乗り越えてCadaver dissection laboratory (CALNA) が設立に漕ぎ着けようとしていました。私が学んだ知識は臨床だけでなく、このCALNAにおいて臨床医のための教育や研究にも役立てていきたいと考えております。

最後になりましたが、この留学を許可して下さいました若林俊彦教授、夏目敦至准教授、諸先生方に御礼申し上げます。